Skin Lighteningの闇

Skin Lighteningとは

Skin Lighteningという言葉聞いたことありますでしょうか?

Skin Cleansingと同じことでCleansingは和製英語なので、Skin Lighteningの方が広く使われています。化粧品で色白にということでしょうか?日本製化粧品はその品質や人気で、近年よく売れています。

日本製化粧品の輸出額は1兆6941億円(経済産業省生産動態統計年報 化学工業統計, 2018)とされており、中国からの旅行客の爆買いも話題になりました。

 

色白な方ってモテますよね?たぶん。色黒よりも色白な女性の方がモテるようで、外歩くときに日傘をさす人や日焼け止めクリームをつける人多いですよね?

例にもれず、東南アジアでも色白は美人の象徴になっています。これは主観的な話でデータはありませんが、東南アジア女性の美人の条件には大抵色白であることが入ってきます。身近な人に聞いてみてください。

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canti malaysiaで画像検索結果(2020年7月19日)

皆さん色白ですよね?

高価な化粧品を買えない人たち

日本製化粧品は人気で、間違いなくぜいたく品です。マレーシアで一食ご飯を食べようと思ったら、屋台8RM/ショッピングモールのフードコート15RM/レストラン30RM/日本食レストラン50~100RMくらいでしょうか。1RM=25~30円です。

そんな物価で日本の化粧品は2000~5000円くらいでしょうか?中産階級以上の人しか買えないですよね。日本の女子高生がダイエットに頑張るように、美人(=色白)になりたい女性は頑張ってしまいます。

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CNA insider "Why's this illegal skin lightening treatment so popular?", 15 Jul, 2020.

ちょっとショッキングな画像ですが、流行っているgluta(グルタシオン)という薬剤を注射しています。

高価な化粧品を使い続けるよりも安価に、白くなれるというので、より貧しい層の女性の間で広がっています。CNA(シンガポールのニュースサイト)ではフィリピンの貧しい階層の女性がこの治療に手を出している事例が特集されていました。彼女たちの美しくなりたい気持ちもその主体性も否定はしません。自己責任と断じることも可能ですが、多くの健康被害が報告されています。

化粧品の数々

 

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ことさら白さを強調する資生堂商品

White:白

Lucent:輝く Brightening:輝く Cleansing:きれいさ・漂白

別に資生堂をディスっている訳ではないです。現地の女性のニーズをしっかりと抑えてマーケティングをした結果であると思います。一流企業なので当然優秀ですよね。

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雪のように透き通った、 くすみのない肌を。 白い肌より、雪の肌。

KOSEのブランド雪肌精のコンセプトは白さよりも、雪の肌と、上手く白(White)という表現を避けていますね。ただ雪肌と書いて白以外の色が想像できるかというとそうでもないですよね。

白く美しい肌になりたいという需要に対して、よくマッチした商品です。人気になるのもわかりますよね。

ドイツのバイヤスドルフ社のブランドNIVEAはもっと直接的です。

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NIVEA商品

※日焼け止め等では当然白さが強調されることもあるので、商品にWhiteと書くことを否定しているのではありません。言葉の粗さがしをしているのではないのでご了承下さい。

ですが、言葉狩りは既に始まっています(Charukesi Ramadurai, Nikkei Asian Review, "Stop selling skin-whitening products, do not just change their names", https://asia.nikkei.com/Opinion/Stop-selling-skin-whitening-products-do-not-just-change-their-names, July 3, 2020)。この記事のご指摘はごもっともだと思います。

Glutaによる健康被害

フィリピンではグルタシオンやがん治療薬の目的外利用(当然違法行為)による肌のLightening(白化)が行われています。腎臓へのダメージや中毒性表皮壊死症(TEN)、敗血症のリスクがあり、最悪の場合死に至るともフィリピンのFDA: Food and Drug Administrationが警告しています(Agence France-Presse, ABSCBN-News, https://news.abs-cbn.com/lifestyle/05/31/11/glutathione-injections-could-kill-fda-warns, May 31, 2011)。

 

バカな女の自業自得と片付けますか?

 

東南アジアで優秀な(well-educated)女性とそうでない人を見分ける方法

汚らわしい表題ですが、簡単です。色白な人です。

同じ民族でもより色白な人の方が大学を卒業して、よい仕事に付き、高い給料を得ていることが多いです。スキンケアにも通えるお金がありますし、外に出かけるときにはぜいたく品である、日焼け止めも使えます。

インドやシンガポールではこうした肌の色による差別が横行しているとされています。教育を受けた人・お金持ちであるかが外見で判断されてしまうようになり、白くなるための活動が将来への投資であると認識されるようになっています(Manish Pandey, BBC News, "Why I've used skin-whitening products", https://www.bbc.com/news/newsbeat-53275734, 5 July, 2020)。

就職でも、頭がよろしいかも、家が裕福であるかも、美しさでも、外見である程度決まってしまう。

貧しい女性がコストを掛けずに白さを求める気持ち理解できますか?

力及ばずながら我々にもできること

貧しさは根本原因かもしれません。でもそれ以上に「白さ=美しい」という概念を作っていることそれ自体が問題です。ユニリーバやジョンソンエンドジョンソンは白さやfairという表現を製品につけてきたことを現在批判されています。私はぜひ日本企業に白さ以外の美しさの概念を作ってほしいと思います。

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