世界自動車、VW・トヨタの比較とトヨタの将来への期待

日本国内での報道ではなぜか、日本企業のみのランキング(トヨタ・日産連合・ホンダ、スバル、マツダ等)の比較が多いため、世界の車メーカを含め販売台数をここに比較します。

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※販売台数の単位は万台

※売上高の単位は兆円

(参照:

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54384150U0A110C2EAF000/
https://automotive.ten-navi.com/article/31437/
https://response.jp/article/2020/01/31/331240.html
https://automotive.ten-navi.com/article/31369/

VWトヨタに注目すると、販売台数と売上高ではVWが勝っており、純利益において3000億円トヨタがリードしています。

トヨタ曰く、数は追わない(言い訳?)そうなので、純利益で負けなければよいようです(https://webronza.asahi.com/business/articles/2016081700003.html)。徐々に台数だけは追わないという主張に最近は変わっており(https://www.tokyo-np.co.jp/article/40309)、販売台数も意識すると共に、損益分岐点を下げることに注力してきたと言えそうです(https://www.sankeibiz.jp/business/news/200612/bsc2006120500007-n1.htm)。

 

この数を負わない方針は2016年ごろ販売台数1位をVWに譲った後、出てきた言葉のように思います。一方VWは直近10年で販売台数を2倍にまで伸ばしています。2007年まで77年間世界販売台数1位(当時937万台)であった、GMは現在はトップ3から外れています。

VWトヨタの違い

・ブランドの数・ブランド力

トヨタのブランド数は少なく、ダイハツ(小型車)・日野(トラック)・レクサス(高級車)・トヨタ(乗用車)の4種類と言えます。

トヨタの場合、乗用車のブランドはコロコロと変えており、今は生産しないコロナや燃料電池車(FCV)としてのミライのように新たにブランドをぼこぼこと創る結果、よくわからないブランドがたくさんでき、一つ一つのブランド力は弱いと言えます。レクサス(レクサスの中でもいろいろ価格帯の種類がありますが)と誰もが知る高級車どちらが高そうかを考えてみると、そのブランド力のなさがわかります。

一方VWはなりふり構わず、企業買収を繰り返してきたため、ドイツのアウディ・ポルシェや、スペインのセアト(小型車)、イタリアのランボルギーニ(高級車)やドゥカティ(2輪車)、チェコシュコダ(小型車)、イギリスのベントレー(高級車)、フランスのブガッティ(高級車)、トラックメーカーのスカニアスウェーデン)、バスを製造するMAN(ドイツ)と多くのブランドを持っており、VWの持つブランド間での競合関係が発生していることが指摘されています(https://www.zba.jp/car-kaitori/cont/column-20150416/)。

VWの場合、誰もが知る高級車~2輪まで多くのブランドを抑えており、代表的なブランドのゴルフのように一つのブランドを大切に、育てる姿勢のため、高いブランド力を持っています(https://www.j-cast.com/2020/08/09391806.html?p=all)。

・販売地域

トヨタは北米に強く、古いデータですが、販売台数の25%程度を占めています(http://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/data/automotive_business/sales/sales_volume/overseas/region.html)。その他アジア・アフリカ・欧州・中国・オセアニアの市場で幅広く販売するという戦略をとっています。

一方VWは中国と欧州市場がほぼ同数の販売となっており、欧州の会社であるため、欧州市場で強いのは当然ですが、中国市場に強いというのが、その特徴となっています(https://www.sankei.com/premium/news/170619/prm1706190006-n1.html)。

環境対応車

トヨタはEVで遅れている他、燃料電池車(FCV)について明らかにこけており、水素社会を目指す国内でのインフラ整備もそれほど進んでいるとは言えず、出遅れていると言って間違いないです。トヨタの出遅れの一方で、EV専門店といえるようなテスラの台頭を許していると言えます。

一方中国政府と蜜月関係にあるVW環境対応車にも力を入れており、外資には2社との提携しか認められてこなかったが、3社目の提携として、環境対応車を製造するためという理由でVWには特例が認められています。

 

トヨタ損益分岐点を1台あたりの利益率で勝負すると豪語していますが、それがどこまで可能であるのかは評価が難しいところです。もちろんWOVENシティーのような中身のよくわからないプロジェクトも注目ですが、直近で見るべきは本業の成り行きです(https://response.jp/article/2018/07/24/312247.html)。最近はSUBARUを抜き改善が目覚ましいという怪しいグラフの記事がありますが(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59882340S0A600C2000000/)←過去の利益部分がマイナスとなっているため、こういうよくわからない比較をする新聞社の神経がよくわからない、よいしょ記事ですか?という感じです。)、過去の日経の記事ではトヨタの一台あたり利益率は海外の他社と比較し、4位(2018)であったとされています。

高級車としてのブランドで負け、販売台数・売り上げで負け、台あたり利益でも勝てない現状で、品質と技術・開発(自称)では勝っているという過去の日本の家電メーカーと同じ未来が待っているように思います。

一方VWの方も中国一本足打法であることも事実ではあるので、シェアリングが進み販売台数の継続的な増加が期待されない現状において、生産能力を増やす方向のVWの将来も微妙ではあります。最も合理化で改善できる要素がたくさん残っているVWの方が、無駄がそもそも少なく・ブランド力を上げなければならないトヨタと比較し伸びしろがあるようには感じますが。

 

日本人としてトヨタを応援したい気持ちはありますが、トヨタの水素社会やオリンピックを意識したe-palet(どこへいったのでしょう?)のコケた現状を見ると、WOVENCITYが期待できるかと言われると…。

トヨタはメディアにお金をつぎ込み、いろんな情報を隠蔽していると言われますが、トヨタの抱える課題とその結果の改善・改善できていない部分がよく見えず、結果と根拠のない期待だけすごいでしょと流される状況が続いているように思います。