香港国家安全法のヤバさ

遡及法かつ外国人も処罰対象/「共産党批判」「香港独立」の主張が違法に

香港に住んでいない人でも違法となり逮捕される可能性があります。

香港国家安全法とは

1997年のイギリスからの香港返還から23年、50年は香港の民主的な諸制度(政治・行政・司法)を変えないことを英中共同声明(https://www.cmab.gov.hk/en/issues/jd2.htm)で約束してきました。香港で国家の安全を維持することを目的とした法律らしいです(なぜこう書くのかは下記を見てください)。

一国二制度と呼ばれる高度な自治が香港には認められてきましたが、今回これが骨抜きになりました。これは英中共同声明という条約(Joint Declarationであるが批准条項・批准書が交付されているため、国際法として効力のあるものhttps://wedge.ismedia.jp/articles/-/19954)→香港基本法(ミニ憲法)に落とし込まれており、今回の措置は明確に中華人民共和国による国際法違反にあたります。香港における立法権は香港の政府にあり、今回の香港国家安全法は香港の議会で作られたものではなく、中国本土の北京政府により作られたものです。香港の法律に優先して施行されるという謎の条項入りなので、この点においてもめちゃくちゃな法運用を行っています。

例えば本来日本にいる日本人は中国の法律で裁かれることはありません。法律には「管轄権」があり、日本国民の代表者である国会議員が立法権を持つ国会で作った法律を日本人は守る必要があります。ですが、中国の法律を日本にいる日本人は守らなくてもよいです。簡単に書くと法の適用範囲(≒管轄権)があり、この原則は守られます。そもそも自分たちの法を作る権利を代議員(国会議員)に委託して作られた法律であれば、守る必要がありそうですが、そうではないものを守る道理はないです。

 

何が問題なのか

遡及法のヤバさ・外国人も対象です

周庭さんの逮捕が日本では連日報道されていますが、どうやら遡及的にこの法律を適用しているようです。「誰かがやった行動」が犯罪として裁判で処理されるには、「誰かがやった行動」がやってはいけませんと禁止している法律が事前に成立(正確には施行)されている必要があります。

極論悪いことをしても、それが法律で違法とされていなければ裁くことはできません。唯一人道に反する罪(第二次世界大戦中の戦争犯罪人国際法で裁く)については遡及法となった例外がありますが、みんなが明らかに悪いと思っていること(習慣的に悪いと思っていること)は習慣法として当然やってはいけないのだから法を明確に作った上で裁くべきだよねという考えもあり、納得できそうな説明ではあります(苦しいですが)。法治国家では基本的に遡及法の禁止は大原則となっています。

国家安全法の施行後周さんはSNS上での批判や投稿をしてこなかったとされており、法施行前のデモ参加呼びかけや批判的な活動が問題となり、逮捕された可能性があります。報道では罪状は伝えられなかったとしており、注目すべきポイントです。

当然過去の香港での中国の活動に対する批判的な活動についての賛同する投稿についても違法になるため、中国(中国の法律なので、中国の法律が及ぶ範囲全て)に入国した瞬間に、外国人が同法により逮捕される可能性もあります。この外国人には法人も含まれ、例えば現地香港人従業員が中国の活動に批判的な投稿をしていた場合、雇用主である外資企業が(香港のみでなく)中国全土で企業活動の停止に追い込まれる可能性もあります。(この法律は香港の法律ではなく、中国の法律なので)

 また、外国勢力との結託もそうですが、外国人(英国籍・米国籍)(https://www.afpbb.com/articles/-/3296882)が香港治安当局から手配されており、香港のために声を上げた外国人にも同法の影響が及ぶ可能性が高いです。高校生がSNS上に反共・香港独立の投稿を行ったこと(https://www.yomiuri.co.jp/world/20200730-OYT1T50121/)を理由に逮捕されていることから、批判的な人間すべてを逮捕することはなさそうですが、目立った人や政治的な交渉等を理由に見せしめに逮捕することは十分に考えられそうです。

報道の自由の侵害・民主主義を形成する根幹の破壊

 周庭氏の逮捕よりも深刻なのは、蘋果日報(アップルデイリー)のジミー・ライ氏の逮捕です。民主主義は正しい情報を国民が知り、その情報に基づき、各々が正しいと信じる投票行動を実施することにより実現されます。アップルデイリーについてはタブロイド紙の側面が大きいですが、政治家や大物の悪事を世にさらすという面では民主主義の根幹を支えていた報道機関の一つです。特に反共・反中国の主張を継続してきた特徴があり、今回目を付けられ、潰されたと言えます。香港市民の支援により、リンゴ日報・関連会社のネクストデジタルの株価は高騰し、同紙を複数枚購入する市民が出てきています。(https://www.nytimes.com/2020/08/10/opinion/jimmy-lai-hong-kong.html

日本の新聞社でも産経や読売(ざっくりと右派・対中強硬・現政権寄り)が好きな人、朝日や東京新聞(ざっくりと左派・親中・社会的弱者フォーカス・野党寄り)が好きな人、日経(やや右寄り、経済優先)が好きな人各々いると思います。お互い意見・フォーカスする分野が違いますが、様々な情報から判断して考えることができます。これが報道の自由です。政治家の腐敗や汚職については文春のようなタブロイド紙のタレコミや共産党によりリークされることもあります。

一方報道が制限されてしまえば、都合の悪いことは明らかにならず、声を上げた人はいつの間にか(文字通り)消されてしまいます。中国の民主派劉暁波氏の存在は今メディアでもほとんど取り上げられなくなってしまいました(https://www.asahi.com/articles/ASK6X4F55K6XUHBI01C.html)。また中国は死刑執行人数も明らかにしておらず、ウイグル人民族浄化の一貫でこういう報道もされています(https://www.epochtimes.jp/p/2018/04/32382.html)。臓器売買や収容所の話も漏れ伝わっており、フェイクニュースであるということは難しい(むしろ実態はよりひどい)と考えた方がよいでしょう。大勢は殺せないし、普通の人にはここまではしないはずですが、その気になれば実行することはできてしまう恐怖がある国であることは理解しておくべきです。

都合が悪いかどうか・逮捕するかどうか・影でこっそりと消されるかは中国共産党の判断次第です。香港国家安全法についても法律の解釈権は中国共産党(香港政府ではなく)にあるとされているので、同法への違反行為が何か不明な上、法施行前の行為も対象になりえるようなので、もはや何でもありです。堂々と「中国は法治国家である」とか言ってしまう中国の報道官ももはやギャグですが、正直中国で仕事はしたくないです。伊藤忠商事社員の逮捕(https://www.asahi.com/articles/ASMCV5J9GMCVUHBI01Y.html)もあり、伊藤忠の元社長が日本政府の駐中国大使になっていた件は有名ですが、愛知県の男性=トヨタor三菱重工関係者ではないかと考えられます。(https://www.asahi.com/articles/ASM2G5D8QM2GUHBI01C.html)罪状は国家の安全に危害を与えた罪で、最高刑は死刑・無期懲役もあります。

何をすればよいのか

周庭さんの逮捕・保釈(保釈は刑が決まっていない間留置所の外に出られるだけで、許されていないですよ)で、心動かされた人は多くいると思います。

報道の自由は民主主義の国にとって核心的な価値(絶対に譲れない点)ですし、これから香港への締め付けはさらに厳しくなるでしょう。できることは個人的にたくさんあると思います。以下プライオリティ順

・香港の情勢に対する意見を発しない日本の政治家・積極的に反対しない政治家をいじめる

https://www.hongkongwatch.org/

↑こういうサイトがあります。香港引渡の際の英中共同宣言(香港の政治・経済・司法制度を50年変えないことを約束したこと)に反する香港国家安全法に反対する政治家の署名一覧です。

https://sekainokawaraban.com/hongkong-kokka-anzenhou

↑日本語でまとめたサイトです。

議員は大体SNSyoutube、ブログ等をやっています。ターゲットの議員を名前で検索した後、質問状を送りましょう。IT弱者のおじいちゃんも多いので、積極的にさらしに行くのがよいと思います。トリプルゼロ議員とかもいるので、忙しくないわけがないですね(笑)

http://www.shugiin.go.jp/internet/index.nsf/html/giin_top.htm

↑当然名前はすぐに調べられます。

二階さんいじめもよいです(もちろん有権者として意見を発する範囲として)が、既に中国とパイプをお持ちの議員を消す方向ではなく、もちろん中国に圧力かけてくれるんですよね?という方向性がよいかと思います。

中国のハニートラップにかかっているおじさん方もいそうですが、そういう脇の甘い人は中国ハニートラップ以外にもやらかしているネタがあるはずなので、そういうネタを積極的に世にさらすのがベストです。アンチブログとか、わりと探すとありますよ。

議員によっては外交を専門としない議員もいるとは思いますが、民主主義の根幹が破壊されることに対して、何も考えられない議員はもはや価値無しと個人的に思います。

・民主派の支援(直接は危険なので、香港国外にいる方が対象)or IPACへの登録を地元議員へ要請

おそらく彼らは何等かの情報発信を続けていることだと思いますので、そうした方に支援するのがよいかと思います。

またはIPCAという議員連盟があり、日本のJPACによる香港人保護のための立法のニュースは大きくでていました。地元議員にこれを紹介した上で、加盟を求めるのがよいかと思われます。

https://www.ipac.global/

Members of the Inter-Parliamentary Alliance on China subscribe to the following principles:

  • Democratic states must maintain the integrity of their political systems, and actively seek to preserve a marketplace of ideas free from distortion.
  • A free, open, and rules-based international order that supports human dignity is created and maintained through intention. The persistence of such an order requires like-minded countries to participate actively in its governance and enforcement.
・今報道されている情報を保管する/ネットニュースはすぐに消されます。

現実的に香港の主権が香港にのみあると言い切ることは難しく、中国の一部であることは変えようのない事実ですし、中国の反論である内政干渉であるという批判も的を得ていると言えそうです。

次の中国の標的は台湾の併合です。その時のために香港で今何が起きているのか、民主派が何を主張し願っていたのか、保管しましょう。中国の多くの若者が天安門事件のことを知らないように、香港の今の情報は共産党の都合がいいように保管・拡散されていきます。

おそらく筋書きは民主派のデモの破壊行為を上げて、民主主義は野蛮だ。民主派のテロリスト(デモ参加者全てを共産党はテロリストと呼ぶ)が国外からの支持を受けて香港人を扇動し、破壊行為・治安悪化のための行為を実行させた。といった情報が拡散されるでしょう。

香港人の次世代への教育もそうした前提で行われていくはずなので、頭のおかしな民主派の人に先導され、破壊行動を行った香港人共産党が再教育し、民主派のテロリストは逮捕されたという事実が残っていくはずです。

台湾が第二の香港にならないように、真実を残していくことが必要ですし、中国の検閲に負けないように情報を拡散し続ける必要があります。拡散はおそらく、民主派の国外亡命者がしてくれるはずなので、メディアに情報を残しておくことが必要でしょう。

 

正直香港の状況はとんでもない状態です。助けられない段階に進んでしまっていますが、いつの間にかサイレントマジョリティーにされないためにも、合法的な範囲で議員をさらしものにするか、声を上げるかする必要がありそうです。

ちなみに国会には請願・陳情の制度がありますので、公式に声を上げることもできますが、今の流れにのり、SNSハッシュタグに反応するのも割と効果的だと思います。

世界自動車、VW・トヨタの比較とトヨタの将来への期待

日本国内での報道ではなぜか、日本企業のみのランキング(トヨタ・日産連合・ホンダ、スバル、マツダ等)の比較が多いため、世界の車メーカを含め販売台数をここに比較します。

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※販売台数の単位は万台

※売上高の単位は兆円

(参照:

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54384150U0A110C2EAF000/
https://automotive.ten-navi.com/article/31437/
https://response.jp/article/2020/01/31/331240.html
https://automotive.ten-navi.com/article/31369/

VWトヨタに注目すると、販売台数と売上高ではVWが勝っており、純利益において3000億円トヨタがリードしています。

トヨタ曰く、数は追わない(言い訳?)そうなので、純利益で負けなければよいようです(https://webronza.asahi.com/business/articles/2016081700003.html)。徐々に台数だけは追わないという主張に最近は変わっており(https://www.tokyo-np.co.jp/article/40309)、販売台数も意識すると共に、損益分岐点を下げることに注力してきたと言えそうです(https://www.sankeibiz.jp/business/news/200612/bsc2006120500007-n1.htm)。

 

この数を負わない方針は2016年ごろ販売台数1位をVWに譲った後、出てきた言葉のように思います。一方VWは直近10年で販売台数を2倍にまで伸ばしています。2007年まで77年間世界販売台数1位(当時937万台)であった、GMは現在はトップ3から外れています。

VWトヨタの違い

・ブランドの数・ブランド力

トヨタのブランド数は少なく、ダイハツ(小型車)・日野(トラック)・レクサス(高級車)・トヨタ(乗用車)の4種類と言えます。

トヨタの場合、乗用車のブランドはコロコロと変えており、今は生産しないコロナや燃料電池車(FCV)としてのミライのように新たにブランドをぼこぼこと創る結果、よくわからないブランドがたくさんでき、一つ一つのブランド力は弱いと言えます。レクサス(レクサスの中でもいろいろ価格帯の種類がありますが)と誰もが知る高級車どちらが高そうかを考えてみると、そのブランド力のなさがわかります。

一方VWはなりふり構わず、企業買収を繰り返してきたため、ドイツのアウディ・ポルシェや、スペインのセアト(小型車)、イタリアのランボルギーニ(高級車)やドゥカティ(2輪車)、チェコシュコダ(小型車)、イギリスのベントレー(高級車)、フランスのブガッティ(高級車)、トラックメーカーのスカニアスウェーデン)、バスを製造するMAN(ドイツ)と多くのブランドを持っており、VWの持つブランド間での競合関係が発生していることが指摘されています(https://www.zba.jp/car-kaitori/cont/column-20150416/)。

VWの場合、誰もが知る高級車~2輪まで多くのブランドを抑えており、代表的なブランドのゴルフのように一つのブランドを大切に、育てる姿勢のため、高いブランド力を持っています(https://www.j-cast.com/2020/08/09391806.html?p=all)。

・販売地域

トヨタは北米に強く、古いデータですが、販売台数の25%程度を占めています(http://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/data/automotive_business/sales/sales_volume/overseas/region.html)。その他アジア・アフリカ・欧州・中国・オセアニアの市場で幅広く販売するという戦略をとっています。

一方VWは中国と欧州市場がほぼ同数の販売となっており、欧州の会社であるため、欧州市場で強いのは当然ですが、中国市場に強いというのが、その特徴となっています(https://www.sankei.com/premium/news/170619/prm1706190006-n1.html)。

環境対応車

トヨタはEVで遅れている他、燃料電池車(FCV)について明らかにこけており、水素社会を目指す国内でのインフラ整備もそれほど進んでいるとは言えず、出遅れていると言って間違いないです。トヨタの出遅れの一方で、EV専門店といえるようなテスラの台頭を許していると言えます。

一方中国政府と蜜月関係にあるVW環境対応車にも力を入れており、外資には2社との提携しか認められてこなかったが、3社目の提携として、環境対応車を製造するためという理由でVWには特例が認められています。

 

トヨタ損益分岐点を1台あたりの利益率で勝負すると豪語していますが、それがどこまで可能であるのかは評価が難しいところです。もちろんWOVENシティーのような中身のよくわからないプロジェクトも注目ですが、直近で見るべきは本業の成り行きです(https://response.jp/article/2018/07/24/312247.html)。最近はSUBARUを抜き改善が目覚ましいという怪しいグラフの記事がありますが(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59882340S0A600C2000000/)←過去の利益部分がマイナスとなっているため、こういうよくわからない比較をする新聞社の神経がよくわからない、よいしょ記事ですか?という感じです。)、過去の日経の記事ではトヨタの一台あたり利益率は海外の他社と比較し、4位(2018)であったとされています。

高級車としてのブランドで負け、販売台数・売り上げで負け、台あたり利益でも勝てない現状で、品質と技術・開発(自称)では勝っているという過去の日本の家電メーカーと同じ未来が待っているように思います。

一方VWの方も中国一本足打法であることも事実ではあるので、シェアリングが進み販売台数の継続的な増加が期待されない現状において、生産能力を増やす方向のVWの将来も微妙ではあります。最も合理化で改善できる要素がたくさん残っているVWの方が、無駄がそもそも少なく・ブランド力を上げなければならないトヨタと比較し伸びしろがあるようには感じますが。

 

日本人としてトヨタを応援したい気持ちはありますが、トヨタの水素社会やオリンピックを意識したe-palet(どこへいったのでしょう?)のコケた現状を見ると、WOVENCITYが期待できるかと言われると…。

トヨタはメディアにお金をつぎ込み、いろんな情報を隠蔽していると言われますが、トヨタの抱える課題とその結果の改善・改善できていない部分がよく見えず、結果と根拠のない期待だけすごいでしょと流される状況が続いているように思います。

ジョホールバル 開発と環境汚染による健康被害

最近気になっているのですが、日本語で検索すると無駄にたくさんジョホールバルへの不動産投資を煽る記事がでてきます。

ジョホールバルはこれから発展していきます!(シンガポールのように!)これから有望です!と煽ってますが、本当でしょうかという話です。

ジョホールバルはどこにあるのか?

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ジョホールバル地図

シンガポールの真上(北)、マレーシアのあるマレー半島の先っぽにあります。

シンガポールインドネシアスマトラ島の間は日本や中国の船が通る物流の一大ルートですので、非常に重要で発展も期待できるところです。

ちなみにシンガポールの北部に行ったことありますでしょうか?

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観光地であるシンガポール南部

例のシンガポールの巨大建造物です。(日本のゼネコンが無理と言っていた建築を韓国の建設会社が安値で請け負った結果、倒壊危険度が上がっているのではないか?といういわくつき。韓国のSK建設の手抜き工事でラオスで建設中のダムが決壊し、大規模な被害が出たニュースは有名ですよね。)

 

とは言え、シンガポールの一人当たりGDPはすでに日本よりも高く、金融や海運の一大拠点となり、外資系企業のアジア地域本社の呼び込みに成功し、非常に発展した”国家”になりました。

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GDP per capita (World Bank Data, https://data.worldbank.org/indicator/NY.GDP.PCAP.CD?locations=SG-JP)

一方発展した南部と比較し、北部は住宅街というかあまり何もありません。

JBセントラル(マレーシア)~Woodlands(シンガポール)間が国境駅となっており、鉄道の場合はこちら。陸路の場合はジョホールシンガポールコーズウェイを専用バスで渡ることになります。

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ジョホールシンガポール・コーズウェイ

シンガポールの鉄道網はかなりしっかりとしているため、入国後、北部のWoodlands Northからシンガポール都心部のある南部へ行くことができます。

ジョホールバルシンガポールに働きに行くマレーシア人が住む町となっています。多くの場合はシンガポールに住むお金のないマレー系・インド系のマレーシア人(建設業・ホテルの清掃等の肉体労働に従事)が住んでいます。

ジョホールバル開発計画(イスカンダル計画←と呼ばれる)

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James Clark, Future Johor-Construction projects in Johor Bahru / Iskandar Malaysia, livingasia.co, September 23rd, 2018.)

ジョホールバルシンガポール3つ分の広大な土地を開発しようというプロジェクトが近年行われており、総称としてイスカンダル計画と呼ばれています。

おそらく元締めはこちらの団体(IRDA; Iskandar Regional Development Authority, http://www.irda.com.my/)で、官民の開発計画の調整・ブループリント(大まかな計画書)も作成しています。

日本語でマレーシアイスカンダル計画と検索するとたくさん記事が出てきますが、英語でIRDAのニュースを探してみるとあまりヒットしません。正直うさんくさいです。

ちなみにジョホール州のSultan(王様)はIbrahim Sultan Iskandarと言います。ここからきているのでしょうか?

ただ開発計画があるのは事実で、レゴランドが建設されるだとか、大学が誘致されるだとか、日本のディベロッパーが参入するだとか、イオンがショッピングモールを建設するだとか情報はいろいろでてきます。ジョホールバルの将来が明るいのは事実なので、自由に投資するのもよいと思いますが、マレーシアの住居の劣化はかなり早いので気を付けるのがよいのではないかと思います(都市開発で人が住むようになるまで何年かかるか見極めたほうがよいと思います)。

マレーシアの元首相ナジブ

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汚職により逮捕されました(Reuter, https://jp.reuters.com/article/malaysia-politics-najib-idJPL3N2EZ1FU, 2020/7/28)。1MDB問題と呼ばれるのですが、マレーシア政府系ファンド(インフラ開発系を含む)を利用した不当な利益獲得・資金洗浄を行ったとしてナジブ元首相は逮捕されました。その額10億ドル以上とも。

ナジブ首相時代にはマレーシアは中国の一帯一路政策に協力しており、大規模なインフラプロジェクトを多数計画していましたが、選挙で野党勢力のパカタン・ハラパンが初の政権交代を果たし、マハティール首相に政権交代すると多くのインフラ開発プロジェクトが凍結されました。

なかなかけしからん話です。

当然大規模なプロジェクトであるイスカンダル計画についてもブレーキがかかるのは間違いないでしょう。

疑惑の中心にいたゴールドマンサックスについても、2人の元社員の逮捕と流出額と同額の巨額の支払いをマレーシアに行うことにより(組織としての関与は認めず)、解決しました。

先行する大規模都市開発

ただ開発が白紙に戻ったり、中止されるわけではないのもまた事実でしょう。マレーシアの大規模都市開発の現状を紹介します。

・Cyberjaya (サイバージャヤ)

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1997年ごろからインド・中国に続く三番目のアジアのシリコンバレーを目指すとして、ICT企業の誘致や企業の研究開発部門を集積しようと開発が計画された都市です。

元々マレーシアの国家開発戦略として、重厚長大国営企業(車のプロトン社、石油化学系のペトロナスが有名)を育成することで、その裾野産業である部品産業を育成し、国全体の経済底上げを図っていた。しかし人口が少ないマレーシアの内需のみの生産では限界があり、関税を緩めた特区を作り外資を誘致しても、マレーシア地場企業からの現地調達が進まず、加えてアジア通貨危機をはじめとする景気後退にも直面し、この戦略は頓挫。そのため、ICTやR&Dを誘致して、産業を高度化することで、現状を打破する国家戦略の一環として作られた都市がこのCyberjayaです。

地理的にはマレーシアの首都クアラルンプール郊外のパーム油椰子生産地の跡地に作られました。

1997年ごろからの開発計画ですが、アジア金融危機やその後の不景気が続き、計画が進まず、2006~08年の間にやっと開発初期段階が始まる。この段階で172社がサイバージャヤに移転。現在では71%の開発が終了しており、約800社がサイバージャヤを拠点とするようになりました。

参照:https://www.cyberjayamalaysia.com.my/about/the-story

断片的な情報をつなぎ合わせると、2014年時点では7万人の人口、2017年では10万人の人口となると予想され(World Finance the voice of market, https://www.worldfinance.com/wealth-management/real-estate/living-in-cyberjaya-the-silicon-valley-of-malaysia, December 4, 2014)、英語版のWikiでは昼間人口が2018年に11万人、2020年には21万人となっています(なお住んでいるとは言っていない)(https://en.wikipedia.org/wiki/Cyberjaya#:~:text=The%20day-time%20population%20in%20Cyberjaya%20is%20about%20102%2C000,is%20expected%20to%20increase%20to%20210%2C000%20by%202020.)。ウィキペディアも正しく使えばよいのですが、参照がないところを見ると、どこかの不動産業者が悔し紛れに書いたのでしょう。人口増加率が2018~2020年でおかしいです(笑)。都心から車でも行ける距離なので10万人程度が昼間人口だとすると住んでいる人はさらに減ることになります。人口10万の町に住宅投資をするべきか日本で比較してみてください。

・Putrajaya(プトラジャヤ

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ピンクモスクで有名なプトラジャヤはマレーシア首都クアラルンプールとKLIA(国際空港)との間の土地に建設されました。行政都市として建設され、裁判所や各省庁の建物が集積しています(建物にお金かけすぎでは?と思うほど各省庁の建物のデザインは独特です)。当初は環状のモノレールや都心部から直結する鉄道の建設が計画されていましたが、予算不足のため、実施が遅れています。車でしか行けないことに加え、省庁間の距離が非常に遠く、車でないと移動ができません。

このため、公務員系・観光に従事する人とその家族が暮らすのみとなっています。

まとめ

サイバージャヤが発展しているとはいえるが、まだまだ人がたくさん住むようになるまでは時間がかかりそうです。

ジョホールバル開発・環境汚染

ジョホールバル開発はシンガポールに拠点をおく製造業の拠点として期待されているそうです。このための工場用地と港湾施設が建設されています(JETRO, https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2018/2db80a820804ec47.html, 2018年4月14日)。おそらくこれはシンガポールからの視点ですね。

一方マレーシア側ではジョホールバルには既に化学系のプラントが集積されており、マレーシアを代表するペトロナスなどの石油系企業の裾野産業(石油化学・樹脂材)をジョホールバル(正確にはPasir Gudang)に集積しようとしているようです(Dominic, C, Y, Foo, AIChE, https://www.aiche.org/resources/publications/cep/2015/november/malaysian-chemicals-industry-commodities-manufacturing, November 2015)。

製造業の街としてジョホールバルが生まれ変わるかというと、それも微妙なところでして、ジョホールバルの反対側にはインドネシアのバタム島があります。

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近年インドネシア・マレーシア・シンガポールの同地域における経済連携協定(IMS-GT)が進み、バタム島(リアウ諸島)の開発も同時に進行しています。成長の三角形(Growth Triangle)として、開発が進んでいます。

3国の労働賃金はシンガポール>>>>マレーシア>>インドネシアですから、製造業としてはバタム島の方がよい気がしますよね。一方、バタム島は(表向きには)製造業の島として発展してきており、現在はIT系の投資をしているそうです(JETRO, https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2019/3e4e50fd389683b3.html, 2019年5月10日)。すみわけ・役割分担なのか、単にバラバラなのか情報が出ていないため(信頼に値する情報がないため)、わかりませんが、3つの国がこの地域の開発に絡んでいることがわかります。(ただでさえ、東南アジアの国の公務員(シンガポール除く)はだらだらしているのに加えて)当然開発はスピーディーにはいきません。シンガポールの公務員は非常に高級で特権も与えられるため、優秀ですが、開発の対象が他国であるため、マレーシア・インドネシアの開発に直接干渉することはできません。

発展を願っています。

環境汚染の問題

一方でこちらはかなり深刻です。環境汚染のひどいところに移住したいと考える人はなかなかいないのではないかと思います。

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化学物質を投棄されたKim Kim川

https://www.channelnewsasia.com/news/asia/pasir-gudang-malaysia-river-chemical-poisoning-sungai-kim-kim-11334974

ジョホールバルでは川が複数流れているのですが、そのうちのSungai BenutとSungai Machap(Sungaiは川の意味)では魚の大量死が発生しており、はっきりしていないが、化学物質または産業廃棄物の不法投棄が原因ではないかと、調査が行われ、Sungai Kim Kimでは化学物質の不法投棄により発生した毒ガスにより、地域住民1000人規模が病院に搬送された他、地域の全学校に当たる111の学校が閉鎖され、川の浄化が行われました(FMT News, https://www.freemalaysiatoday.com/category/nation/2019/03/25/johor-sultan-orders-probe-into-pollution-of-benut-machap-rivers/, March 25, 2019)。

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この事件では2700人以上が被害を受けました

https://www.channelnewsasia.com/news/asia/pasir-gudang-chemical-poisoning-timeline-what-we-know-so-far-11348968

この事件では初期には3人の男性が関係者として聴取されていたのですが、政府発表では驚くことに誰も逮捕されておらず、幕引きがなされました(CNA/aw, https://www.channelnewsasia.com/news/asia/pasir-gudang-chemical-poisoning-timeline-what-we-know-so-far-11348968, 16 March 2019)。

化学プラント関係の事件や健康被害はその後もたびたび報道されているようで、風向きがよくないです。築地⇔豊洲市場への移転では東京ガス跡地(豊洲市場)が建設予定地とされ、「ベンゼンが基準値以上に出た」と大騒ぎしていましたが、移住したいという動きが直近10年で進むようにはあまり思えません。

この事件の幕引きを見ると、マレーシア政府がこうした事件を隠蔽する方向に向かっていることも考えられます。日本の足尾(栃木県日光市)の鉱毒事件の隠蔽もありましたが、経済発展の陰にこうした被害を受ける人々が発生することが多いことも忘れてはなりません。

マハティール・アンワル体制に政権変更した後、ルックChinaからルックイースト(日本を見習う)政策に変わったマレーシアの今後に期待すると共に、同地域に進出する日本企業やその従業員にはぜひともお行儀よくしていただきたいです(リアウ諸島のいかがわしいお店に入り浸ることなく)。

新都市開発はかなり時間のかかるものです。1997年から開発が始まり、クアラルンプール郊外で人が集まりやすい地域であるサイバージャヤの開発で人口が10万人程度です。ジョホールで人がどこまで集まるかは不透明です。

加えて、首都から離れた地方の開発事例として、タイのプーケットチェンマイ(首都バンコクからかなり離れている)の開発事例があるではないかという主張もあると思いますが、タイは人口7000万人、マレーシアは人口3000万人の国で規模・内需の大きさが違いますし、プーケットの開発は1980年代から形になり、観光地として認知されるようになるまでに20年以上かかっています。東南アジアの建築物はすぐ劣化します。

こうした情報を考慮の上で、ジョホール州に住むマレーシア人のために日本人が何かをしてくれる未来があればいいなと思っています。

MEMBINA NEGARA MEMENUHI HARAPAN (希望にこたえる、国を育てる)←に貢献してくれる未来がくると。 

Skin Lighteningの闇

Skin Lighteningとは

Skin Lighteningという言葉聞いたことありますでしょうか?

Skin Cleansingと同じことでCleansingは和製英語なので、Skin Lighteningの方が広く使われています。化粧品で色白にということでしょうか?日本製化粧品はその品質や人気で、近年よく売れています。

日本製化粧品の輸出額は1兆6941億円(経済産業省生産動態統計年報 化学工業統計, 2018)とされており、中国からの旅行客の爆買いも話題になりました。

 

色白な方ってモテますよね?たぶん。色黒よりも色白な女性の方がモテるようで、外歩くときに日傘をさす人や日焼け止めクリームをつける人多いですよね?

例にもれず、東南アジアでも色白は美人の象徴になっています。これは主観的な話でデータはありませんが、東南アジア女性の美人の条件には大抵色白であることが入ってきます。身近な人に聞いてみてください。

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canti malaysiaで画像検索結果(2020年7月19日)

皆さん色白ですよね?

高価な化粧品を買えない人たち

日本製化粧品は人気で、間違いなくぜいたく品です。マレーシアで一食ご飯を食べようと思ったら、屋台8RM/ショッピングモールのフードコート15RM/レストラン30RM/日本食レストラン50~100RMくらいでしょうか。1RM=25~30円です。

そんな物価で日本の化粧品は2000~5000円くらいでしょうか?中産階級以上の人しか買えないですよね。日本の女子高生がダイエットに頑張るように、美人(=色白)になりたい女性は頑張ってしまいます。

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CNA insider "Why's this illegal skin lightening treatment so popular?", 15 Jul, 2020.

ちょっとショッキングな画像ですが、流行っているgluta(グルタシオン)という薬剤を注射しています。

高価な化粧品を使い続けるよりも安価に、白くなれるというので、より貧しい層の女性の間で広がっています。CNA(シンガポールのニュースサイト)ではフィリピンの貧しい階層の女性がこの治療に手を出している事例が特集されていました。彼女たちの美しくなりたい気持ちもその主体性も否定はしません。自己責任と断じることも可能ですが、多くの健康被害が報告されています。

化粧品の数々

 

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ことさら白さを強調する資生堂商品

White:白

Lucent:輝く Brightening:輝く Cleansing:きれいさ・漂白

別に資生堂をディスっている訳ではないです。現地の女性のニーズをしっかりと抑えてマーケティングをした結果であると思います。一流企業なので当然優秀ですよね。

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雪のように透き通った、 くすみのない肌を。 白い肌より、雪の肌。

KOSEのブランド雪肌精のコンセプトは白さよりも、雪の肌と、上手く白(White)という表現を避けていますね。ただ雪肌と書いて白以外の色が想像できるかというとそうでもないですよね。

白く美しい肌になりたいという需要に対して、よくマッチした商品です。人気になるのもわかりますよね。

ドイツのバイヤスドルフ社のブランドNIVEAはもっと直接的です。

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NIVEA商品

※日焼け止め等では当然白さが強調されることもあるので、商品にWhiteと書くことを否定しているのではありません。言葉の粗さがしをしているのではないのでご了承下さい。

ですが、言葉狩りは既に始まっています(Charukesi Ramadurai, Nikkei Asian Review, "Stop selling skin-whitening products, do not just change their names", https://asia.nikkei.com/Opinion/Stop-selling-skin-whitening-products-do-not-just-change-their-names, July 3, 2020)。この記事のご指摘はごもっともだと思います。

Glutaによる健康被害

フィリピンではグルタシオンやがん治療薬の目的外利用(当然違法行為)による肌のLightening(白化)が行われています。腎臓へのダメージや中毒性表皮壊死症(TEN)、敗血症のリスクがあり、最悪の場合死に至るともフィリピンのFDA: Food and Drug Administrationが警告しています(Agence France-Presse, ABSCBN-News, https://news.abs-cbn.com/lifestyle/05/31/11/glutathione-injections-could-kill-fda-warns, May 31, 2011)。

 

バカな女の自業自得と片付けますか?

 

東南アジアで優秀な(well-educated)女性とそうでない人を見分ける方法

汚らわしい表題ですが、簡単です。色白な人です。

同じ民族でもより色白な人の方が大学を卒業して、よい仕事に付き、高い給料を得ていることが多いです。スキンケアにも通えるお金がありますし、外に出かけるときにはぜいたく品である、日焼け止めも使えます。

インドやシンガポールではこうした肌の色による差別が横行しているとされています。教育を受けた人・お金持ちであるかが外見で判断されてしまうようになり、白くなるための活動が将来への投資であると認識されるようになっています(Manish Pandey, BBC News, "Why I've used skin-whitening products", https://www.bbc.com/news/newsbeat-53275734, 5 July, 2020)。

就職でも、頭がよろしいかも、家が裕福であるかも、美しさでも、外見である程度決まってしまう。

貧しい女性がコストを掛けずに白さを求める気持ち理解できますか?

力及ばずながら我々にもできること

貧しさは根本原因かもしれません。でもそれ以上に「白さ=美しい」という概念を作っていることそれ自体が問題です。ユニリーバやジョンソンエンドジョンソンは白さやfairという表現を製品につけてきたことを現在批判されています。私はぜひ日本企業に白さ以外の美しさの概念を作ってほしいと思います。

underconstruction

インドネシア株(銀行系)のすゝめ

米国高配当株投資(VYMやSPYD等)や全世界株投資が流行っていますが、全額米国系の投信にぶち込むのはあまり楽しみがないですよね?

 

趣味として分散投資先を創る時に面白いと思うもの、その一つがインドネシア株です。インドネシアってどんなイメージですかね?

昨今の高速鉄道計画で、日本はインドネシアのジョコ大統領にコケにされました。インドネシアは賄賂が横行している国なので、中国の賄賂に負けたという考えでもOKですが。インドネシアの人口は2億7000万人(2019年, 世界銀行)で、以下の通り、右肩上がりの国家です。

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2019年, 世界銀行

コブダグラス生産関数やマクロ経済をやったことがある人は経済規模が

Y(経済規模)=A(生産効率・技術水準)・P(人口)・K(資本・お金・工場)

で決定していく過程を勉強したことでしょう。インドネシアはこれからAを改善し、Kを呼び込もうとしている途上にあります。

ではYに当たるGDP(みんながお金を1年でどれだけ使っているか)を見てみましょう。

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2019年, 世界銀行

指数関数的に伸びていますね。人口増に加え、AもKも増えていると推定されます。

 

社会的事情

民主主義国家と言われつつも、議会には軍人枠がある。

世界最大のイスラム教国家(お酒は飲むし、非常に緩い)。

バリ(仏教・観光地)+ジャワ島(ジャカルタがある)でできている。スマトラ島カリマンタン島スラウェシ島ニューギニア島西側が面積として大きいが人口はジャワ島が大部分を占める。

 

地政学

ASEAN本部ってどこにあるか知ってますか?シンガポールではなく、インドネシア首都ジャカルタです。ASEAN加盟国で人口はインドネシアが最も多いです。将来の大国候補ですね。

インドネシアスマトラ島・マレーシア・シンガポールマレー半島で重なるマラッカ海峡は中東からの石油を載せたタンカーが日本・中国・韓国へ向かう非常に重要な場所です。物流の非常に重要な拠点です。

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中国はウィルス(×2)と政治的にも仲良くしかねる部分があるのでChina+1という戦略をとる企業が多いですが、+1として一人当たりGDPが低く、貿易特区(輸出)だけでなく、将来的には内需も見込めるインドネシアには今後大規模な資本投下も見込まれます。

 

リスク

・コロナは制御不能状態

 →政府はほぼほぼコントロールできていない、致死率も非常に高いです。憤りを感じます。)

・賄賂国家であること

 →ミセス10%=スハルト元大統領の妻ティン婦人)(ただ、賄賂=経済成長の悪化に直接つながるわけではない、Pranab Bardhanの論文の分析が面白いかと。

外資への嫌がらせも過去にやっている

 →デジタル課税もするらしいですし(Reuters, Tabita Diela and Fanny Potkin, May 15 2020, https://www.reuters.com/article/us-indonesia-tax-digital-idUSKBN22R23V)、過去には資源輸出の課税も日本企業向けにやってました。

・労働者の質

 →真面目ではないとは言われますよね、インドネシア人が~ということはあまり気が進むことではないですが。

 

インドネシア銀行株ってどうでしょう?

こうした基礎情報に基づき、インドネシアの銀行株について考えていきます。

 インドネシア株全体で考えると危険です。

理由はつぶれるリスクがあるからです。そのリスクもとるぜという方はよいと思います。寛容な心でインドネシア経済を応援してください!安定・ディフェンシブ銘柄とされる電力・通信系の会社がよいかと思います。

 

インドネシア株式配当の利益にはインドネシアの現地課税が20%かかります。

100円の配当があれば80円、入金されます。日本の証券会社ではここからさらに日本で約20%課税され、64円くらいになります。ここだけは押さえておきましょう。

 

なぜインドネシア銀行株なのか=理由はつぶれないから

日本の銀行はつぶれそうとよく言われますが、これは半分本当で半分うそです。

日本のメガバンク3行はtoo big to fail (TBTF)でつぶせない銀行です。リーマンショックでリーマンブラザーズという投資銀行が潰れた後、その後の経済混乱にビビった世界が、大きな銀行はなんとしても潰さないようにしようということになりました。(TBTFの銀行はFSBという機関が決めて、その経営状況を監査し、経済ショックへの体制をつけるための議論が行われています)

一方で日本の地方銀行はそのような銀行ではないので、つぶれてもかまわない会社です。(日本の場合は地銀が潰れるとその地域の経済がショックを受けますので、つぶさないとも思いますが)

 実はインドネシアの銀行はTBTFではありませんが、要するに大きな銀行はつぶせないのです。インドネシアの政治家がまともじゃなくなると困りますが、まともな経済運営を考えるのであれば、大きな銀行=Too big to failな会社となるのです。

 

ところで銀行のビジネスモデルは金利の利ザヤです。

今先進国は政策金利を下げており、お金が世の中にたくさん回るようにしています。この政策金利は銀行がお金を貸すときの金利と連動しているため、先進国の銀行の利益構造が崩れています。

一方インドネシア政策金利は未だ高いままです。金利が安い国には魅力がないので、外からの資金が逃げてしまうからです。アジア通貨危機に関連した経済危機はタイの通貨バーツの暴落により、始まりましたが、アジアの国は特にこのような事態を繰り替えさないように、自国の通貨の価値=金利の高さを下げ過ぎないように気を使っていると言えます。

Y=A*P*Kの経済構造はどの国でも維持されるので、Pが絶対的に増えているインドネシアはそれに見合ったK(資本)をとにかく呼び込む必要があります。政策金利を上げすぎると国内のお金の周りは悪くなりますが、銀行の収益は上がります。政策金利インドネシアの人口規模/資金が海外に逃げることによるルピア安懸念を考えるとこのまま維持される公算が高いです。つまりインドネシアの銀行の収益もこのまま伸びていく可能性が高いです。

 

 

 

4つのインドネシア主要銀行

銀行個別の詳細は(こちら)

ただ、URLから個別で詳細を検索することをお勧めします。インドネシア語の表記と同様に数字の少数点は「.(ピリオド)」ではなく、「,(コンマ)」です。3桁ごとの「,(コンマ)」は「.(ピリオド)」となっているので注意です。

・ BRI:Bank Rakyat Indonesia

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(参照: BRI, Investor Relations, https://ir-bri.com/)

総資産 1416.8兆ルピア(2019)

・Bank Mandiri

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(参照: Bank Mandiri, Investor Relations, https://www.bankmandiri.co.id/en/web/ir)

総資産 1318.2兆ルピア(2019)

・BCA: Bank Central Asia

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(参照: Bank Central Asia, Investor Relations, https://www.bca.co.id/en/Tentang-BCA/Hubungan-Investor)

総資産 919兆ルピア(2019)

・BNI: Bank Negara Indonesia

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(参照: Bank Negara Indonesia, Investor Relations, https://www.bni.co.id/en-us/company/hubunganinvestor/presentationreport)

総資産 845.6兆ルピア(2019)

 

日本のMUFGの総資産は336.5兆円です(MUFG, 最新IR資料2020年3月期,  プレゼンテーション資料, p12, https://www.mufg.jp/ir/index.html)。

1円=100~140ルピアと考えて、120ルピアで計算すると、4京380兆ルピアと比較できます。インドネシアと日本では経済規模が違いすぎるので、単純比較はできませんが、やめてMUFGに投資をと考える気持ちもわからないでもないです。

インドネシアの経済成長率は現在5.5%前後を推移しており、GDPは1.1兆ドル(日本は5.1兆ドル)です(World Bank, Data for Indonesia and Japan, https://data.worldbank.org/?locations=ID-JP)。

 

Xlog(1.1兆ドル*(1.055))=log5.1兆ドル

X=30年

 

今の成長率を30年続けると日本の今のGDP水準に到達します。最も未だインフラ整備も人口増加も進んでいる国なので、条件次第ではさらに短いかもしれません。将来の大国候補は間違いないです。

最後に基本事項として

個別企業への投資は最低限PER・PBRを見て自分で判断してください。

PER 15倍が平均、それ以下だと比較的割安(株価/一株あたり純利益)

PBR 1.2倍あたりが平均、それ以下だと比較的割安(時価総額/純資産)

単にこれだけを見ておけばよいというわけではなく、特別損失やROE、各種ニュースのチェックはするべきです。責任はとれませんので。

Indonesia bisa!(インドネシアならできる!)ということで、インドネシアがコロナを乗り越えることを願っております。